●Mさん/定年まで航空自衛隊勤務後、入学
人は人生においていろいろな経験を積みます。失敗をして恥をかいた経験は、誰もがした事があると思います。特に失敗をして落ち込んだ思いはいつまでも忘れることがありません。問題は、失敗した後にどうするかです。
これは、私が若い頃に経験した失敗談です。
私が青森県三沢基地に配属になり3年過ぎ、ようやく一人前になり自信がつき始めた頃です。夜勤上番中、米空軍の患者輸送機の飛来情報が入りました。雨で視界は悪く、パイロットからレーダー誘導着陸の要請がありました。
この航空機はDC-9型機改造、非常にスリムで「空の貴婦人」の異名がありました。翼幅面積が小さく、空気抵抗が少ないため高速に適している反面、着陸する際の誘導が難しいのです。旋回のタイミングを間違えると、あとの軌道修正が大変になります。
その旋回のタイミングを、私は失敗し、まさに悪事例の如く飛行機は「スネークアプローチ」しました。よく侵入復行にならなかったと冷や汗をかいた記憶が残っています。
我々の業務はクルー勤務で仕事をしますが、一人ひとりが自分の責任において業務しなければなりません。個人のミスはその人の責任であり、大きな航空事故に繋がる恐れもあり、勤務中は神経を使いました。そこで大事なことは、同じ失敗を繰り返さないために反省し、欠点を改め管制技術の向上に努めることだと思います。
皆様も失敗してもそれを糧として、技を磨き、己の職務を全うするようにしてください。