※学生による「3分間告報」R6.11.18開始。週1回、朝課後に行います。
ハイ! ご低頭には及びません。どうぞ頭をお上げください。
この告報は、スピーチ力並びに自己表現方法などの向上、
学生間での相互理解と和合を図ることを目的としております。
決して告報内容等に関して評価や非難などは行わないよう、お心がけください。
ではスピーチを始めます。
※発表者の了承を得たものを載せています。
※学内でのスピーチのため、学外の方には分かりにくい表現等あるかもしれませんが、ご了承ください。
浄土すなわち遠からず
2026-06-04
●1回生/社会人・長期履修学生
六月に入りました。六月と言えば梅の実熟す頃。そして父の日。
梅の種を割ると中から出てくる天神様のように、一人っ子の私をそれはそれは大切に育ててくれた父。それなのに、年を経て認知症を患った父を、私は冷淡にもなかばだますようにしてグループホームへ入れたのです。ちょうどその頃、岐阜県では最大のとある経済団体の、女性初の筆頭副会長の話が持ち上がり、父のお世話もしないでグループホームへ預けた自分に後ろめたさを感じながら、おそるおそる父に打ち明けました。次の瞬間、父は机を大きくバーンと叩き、
「お父ちゃんはうれしいよ!いっしょうけんめい勉強して皆様の役に立たせてもらいなさい!」
その時の父の瞳は深い慈しみの光で輝いていました。
正眼短大に入学して三年目に入った今、私はこの時の父の瞳を持つ菩薩様に逢うことができました。私が立てない時には後ろから抱きかかえて立たせてくださり、足が前へ出ない時には腕を貸してくださり、先廻りしてエレベータのボタンを押してくださり、段差がある時には肩を貸してくださり、足袋もはかせてくださり、おいしいお粥を作ってくださり、そのお粥を運んでくださり、杖を私のそばまで持ってきてくださいます。これらの行いは慈悲の心からおこる利他の行い。観音経にある観音様の現れそのもの。
あまりにも人として未熟な私を心配されたお釈迦様が、皆様に出逢う為にここへお導きくださいました。
秋には皆様方の神通力ですっかり歩けるようになっているはずなので、どうか今しばらくお支えください。浄土すなわち遠からず、皆様の優しさあふれるここがまさに私の蓮華国、皆様お一人お一人が、まさに導き菩薩様なり。
伝統楽器「古琴」のこと 今この瞬間に
2026-04-21
●2回生/留学生
今日は、中国の伝統楽器である古琴(こきん)についてご紹介します。
日本では、「こと」のほうがよく知られているかもしれません。ことは弦が多く、音量も大きく、音色も明るく華やかです。それに対して、古琴は7本の弦で、音量も小さく、静かで内面的な響きを持っています。ことが「人に聴かせる楽器」だとすれば、古琴は「自分と向き合うための楽器」だと言えると思います。
古琴は三千年以上の歴史を持ち、昔から、心と体を整えるための道具とされてきました。その音は静かで余韻が長く、聴いていると呼吸が自然にゆっくりになり、心も少しずつ落ち着いていきます。
中国の伝統では、「五音(ごおん)」は五行に応じ、五臓を調える」とも言われています。
しかし、私にとってもっと大切なのは、古琴が「自分の状態に気づき、今に集中するための修行の道具」であるという点です。たとえば、心が乱れているときは音も落ち着かず、心が静まると音も自然にやわらかくなります。もし、演奏しながら「上手に弾こう」とか「認められたい」と思うと、その瞬間に心は今ここから離れてしまいます。
本当に大切なのは、一つ一つの音に意識を向け、この瞬間にとどまることです。
古琴は決して華やかな楽器ではありませんが、静かな中で自分の内面と向き合うことを助けてくれます。
新年度、自己紹介として
2026-04-10
●1回生/社会人学生
本日は、新しい方が朝課に参加していますので、私の自己紹介をさせて頂きたいと思います。
年齢は58歳。愛知県に自宅があり、妻が一人、子供が三人、孫が二人います。長く防衛省・自衛隊で働いていて、57歳の年に1等陸佐で定年退官しました。自衛隊では、様々なことをしましたので、今日はその一端を紹介します。
昭和の終わり頃に神奈川県横須賀にある防衛大学校に入学しました。防衛大学校は、幹部自衛官を養成する学校で、学生手当という給料をもらいながら普通の大学の勉強もできる全寮制の学校で、私の専攻は、応用物理学です。中でも、心理物理学が専門です。陸上自衛隊では30回以上住所を変更し、20回以上職場が変わりました。海外勤務はドイツでの学会発表を入れると3回、災害派遣は7回で、のべ129日です。研究開発の分野では、興味深かったのは、「電磁パルス弾」の研究で、爆発のエネルギーを電磁パルスに変換して、人ではなく、コンピューターのみを破壊する爆弾の研究をしていました。また、教育の分野では、陸上自衛隊の戦術・戦略の教科書の編纂に関わったので、今の陸上自衛官のほとんど、普通科職種(歩兵)の人が私の編纂した教科書で部隊運用を学んでいることになります。人事の分野では、メンタルヘルス教育指導の全般を担当したことをきっかけに、産業カウンセラーの資格を取得し、キャリコンの勉強、精神分析学、超越的現象学、認知行動療法、特に、認知行動療法の第4世代のマインドフルネスを学び、マインドフルネスの基礎が禅にあることをしりました。
その他、自衛隊でたくさんの経験をしましたが、自衛隊の定年を機に、小学校の頃から興味があった仏教全般と禅を学ぶために、本校に入学しました。入学してまだ半年で、何もできませんが、今後もご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
一日一生の気持ちで
2025-01-13
●2回生/社会人学生/長期履修最終年
私は今回、無相大師、大応国師、大燈国師の教えについてのレポートを書くことで、この4年間をかえりみることができました。
入学時の私は、多重癌を患い、身体はヨレヨレの状態でした。朝課なんて出られるものかと思っている自分でもありました。
己とは何者で、どういう人間なのかを知りたい一心でした。まるで泥にまみれて見えなくなった砂金を探すように、本来の自分という光を探し、「生きる中」で苦の中にこそ本当のこと、宝が隠されていたことを知れた、この4年間の行学一体の学びをありがたく感じております。高額なれどそれを越える価値がある、形なき宝を得られたことは否めず、感謝しかありません。
一日一生という気持ちで、一日一日を生きることの大切さを体得できたのも、本当に大きかったと思います。
(後輩の学生さんたちへ向けて)皆様も、作務、坐禅、行学一体の学びを通じ、生きて、生かされている今を、一日一生を大切にし、日々をすごされ歩まれてください。
4年間ありがとうございました。
〈言葉で伝える〉ということ
2024-12-16
●1回生/社会人学生
私の趣味は冬キャンプです。テントはWAQというメーカーのワンポールテントを愛用しています。
ある時の明け方、テントの上を大勢の小さい何かが、小さい爪を立てて走っていく音がしました。私は「絶対何か可愛いのが来た!」と喜んでテントを開けてみました。
それは、いつの間にか降り始めた雪がテントに乗る音でした。
言葉にしたせいで、聞いたはずの本物の音と、イメージが違ってしまったのだと思います。
私は、人に何か説明したり、わかるように話すのが苦手なので、こんなふうに「言葉で伝える」ということについて考えることがあります。
先月、学長の公開講座を聞きに来られた方が、
「この学校でも通信教育を導入されたら良いのにと思っていたが、実際にこの場に来て、お寺の静けさを体験したり、学長を目の前にしてお話を聞いたりしてみると、(正眼短大においては)通信教育なんて浅はかだったと思う」というようなお話をしてくださいました。リモートで、言葉だけで伝えられることは、その場にいて伝わることのほんの一部でしかないということだと思いました。
言葉で伝えると言えば、春学期に寮で一緒に過ごしたAさん(外国人)とはたくさん話しました。言葉を尽くして話したつもりでしたが、少しの理解のずれが、どんどん誤解に繋がっていくことを感じていました。理解できないし、伝わらないジレンマで、言葉なんて本当にままならないと思っていました。
でも最近、ほとんど意味の分からない回向に、震えるほど感動したこともありました。法鼓の音に誠実さを感じるとか感じないとかの話もありました。
これは、言葉でなくても、「発した何かが何かを伝える」ということだと思います。
そう考えると、「言わなければ伝わらない」とかは嘘だと思うし、喋るからには言葉を丁寧に使おうと思うし、何より、相手が言葉にしなくても、大事なことはしっかり感じられるようになりたいと思います。

