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zengo blog

(17)鼠入銭筒伎已窮

2020-01-08
鼠入銭筒伎已窮 ねずみせんとうにいって わざすでにきわまる
 
 ー 今できることは何か? ー
 
子年の2020年、皆様良い新年を迎えられたでしょうか。
 
さて、干支に因むとは言え、年初から “ 鼠、銭筒に入って、伎、既に窮まる ” の語は酷だろうか。
銭を入れるための細い筒に鼠が入っていき、すっぽり挟まって前にも後ろにも動けなくなった状態。
鼠は頭が入る穴ならば、胴体は骨を外すなりして抜けるそうだ。
しかし、それこそ図に乗って長い筒に入り込めば、いつか二進も三進もゆかなくなる。
さずがにこのままでは死んでしまう。
さてどうするか?
 
行けると思って突っ込んだものの、身動きが取れなくなってしまっている人は多い。
個人に限らず、この頃の社会全体、世界中にそんな傾向が見られるのではないだろうか。
自分だけの、或いは自国だけの、利益を追求し、脇目も振らずに突進している。
できると信じて走り出すが、いずれ何ともならなくなる。
筒に入る前によく考えていればと後悔しても遅い。
正にその半ばで詰まってしまった今。
 
そこでできることは、ただじっとしていることだけ。そう、待つことだ。
ならば体力を温存し、じたばたせずに待つ。そして、もし体が痩せて隙間ができたら、いざ脱出せよ。
事態を見極め、信じて待つ。
八方塞がりの現実を打開するのに必要なことは、実にこれである。
窮すれば必ず変じ、変ずれば通ずるのである。
 
ところで、鼠は立派な前歯をお持ちである。
コンクリートもかじるこの歯をもってすれば、
頭さえ自由になるなら、竹筒に穴を開けることぐらい簡単であろう。
何でもできる、やれると過信するのも困ったことだが、
この変化、変身が今こそ大事なことではないか。
そして、これが待つことの本当の意味だ。
筒の中で何もできないと思い込んで縮こまっているのでは、真に情けない。
 
一巡して始めに戻った子年、先ずは新たな気持ちで立ち向かいたい。
 
 
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